【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第13章 ZERO
そんな可愛い顔で笑うの、僕と二人きりだけの時だけにしてくれ…
独占欲丸出しのことを思っていると、リラが僕の肩にコテッと頭を倒して寄りかかってきた。
「リラ?」
「…あのね、もう一つ聞きたいことがあるの」
「なに?」
もうリラに何でも言える。
それが嬉しくて何でも聞いてほしくて、僕は優しくリラに問いかけた。
まさかリラから飛び出した質問が、彼に関することだとは思いもしなかったから。
「…諸伏景光…ヒロと降谷さんは、知り合いなの?」
「え…」
まさかリラからその名前が出るなんて思っておらず、僕は思わず目を見開いた。
そう言えば、以前リラが寝言でその名前を呼んだことがある。
ヒロ…と。
そして、ヒロって誰?と問うと、わたしの好きな人と答えた。
その時は、きっと前の彼氏だと思っていたけれどその後すぐに前の彼氏がストーカーとして捕まって…
そのまま僕の中でも有耶無耶になっていた。
普段はおしゃべりのくせに、頭の中を物凄いスピードで整理していると、途端に静かになるのが僕の癖だ。
リラは僕が困っているんだと思ったんだろう。
慌てて話の補足をした。
「写真見たって言ったでしょ?
そこにヒロが写っていたから」
「…君も景と知り合いなんだ…?」
「うん…初恋…だった」
神様は、意地悪が好きだな。
僕の唯一無二の親友は、僕の最大の恋敵だったらしい。
そしてその親友は、張り合いたくても張り合えない。
この世にいないのだから。
リラは景とのことを静かに話し始めた。
懐かしい、幼馴染で友達で戦友の諸伏景光が、たしかにそこにいた…