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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第13章 ZERO




わたしのことが好き
これだけが本当だったと言われて、胸がぎゅっと苦しくなった。

きっと降谷さんのほうが辛かったよね。
自分の好きな女の子に、ずっと偽名で呼ばれるのは。

よく見たらボロボロの降谷さんの身体なのに、わたしのことを力強く包み込んでくれている。
わたしは彼の匂いを思いっきり感じた。

名前が安室さんでも降谷さんでも、匂いはおんなじ。

わたしが好きになったこのひとだ。


「…許す」


たったそれだけ言うと、思わず涙が溢れそうになる。
泣き声を聞かれたくなくて、その後に好きだよと言いたかったのに喉の奥で消えた。


「ごめんな…
警察官でも、僕の所属は公には出来ないようなところに配属されていて…
だから、今で簡単に話すことができなかった」

「…いいの。
今こうして話してくれていることが、すごく嬉しいから」


途中で涙がこぼれ落ちないように、途切れ途切れにそう言うと、降谷さんは優しく微笑みながらゆっくりとわたしから身体を離した。

わたしが泣いているのを必死に隠そうとしていたけれど、無駄だったみたい。
降谷さんはわたしの目に滲んだ涙を優しい指で拭うと、愛しそうに髪を撫でる。


「…帰ろうか。と言っても、FDがスクラップ同然になったからな…
風見に迎えにきてもらうか…」

「かざみ?」

「僕の部下だよ。リラのこと、紹介したい。
いい?」

「うん!」


彼の口から、初めて彼に近しい人の名前を聞いた。

それが、彼にまた一歩近づけた気がして嬉しかった、物凄く。


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