【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第13章 ZERO
「僕の本当の名前は、降谷零」
「降谷零…」
「そして、本当の職業は…警察官だ」
あぁ。やっぱりそうなんだ。
そんな顔をしていたんだと思う。
全く驚かないわたしを見て、不安に思ったのか安室さん、もとい降谷さんはわたしの顔を覗き込みながら首を傾げた。
「リラ?
…驚かないのか?」
瞳をかすかに揺らしながら、降谷さんがわたしをじっと見つめる。
まるで、嘘をついていたことでわたしが離れていくんじゃないかと不安がっているような目に見えた。
「…実は、見ちゃったの。
この間掃除してる時に、偶然本の間に挟まった写真を…
…警察官の格好をしていたから。
あと、降谷さん宛の書留を受け取ったこともあるし」
「…ごめんな。
ずっと、騙してた」
そう言って降谷さんは、わたしの頬を大事そうに撫でる。
温かい手…
騙してたなんて言葉似合わないぐらい、優しい指先。
わたしはしばらく考えたあと、ゆっくりと口を開いた。
「…わたしのこと好きだって言うのは、嘘じゃないよね…?」
そんなこと聞いて、今更、嘘でした。と言われても困る。
こんなに好きになってしまったんだから。
どうか、それは本当だよって言って欲しい。
そう思いながら降谷さんの答えを待ってると、またわたしの身体を抱き寄せてぎゅっと腕の中に閉じ込めた。
「リラのことが好きだと言う気持ちだけ、本当だった。
…あ、あと、セロリが好きも本当。」
「…ふふ」
その言葉を聴いて、わたしの目に涙が滲んだ。
泣いていることがバレないように、わたしは降谷さんの胸に顔を埋めた。