【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第13章 ZERO
大きな何かが崩れる音と共にカジノタワーが大きく揺れた。
あ、これはもう死んだな。
なぜかそんな風に冷静に考えたわたしだけど、揺れは少ししたら収まり、なんとか生き延びているようだ。
中の人たちも、怪我をした人はいなさそうでホッと一安心しながらわたしはキョロキョロと山岸さんを探した。
そうしているうちに無事が確認され、人々はカジノタワーから外へ避難を開始したのだが、山岸さんは見つからない。
「どこ行ったの…」
そう思っていると、偶然スマホの電波が一瞬入って、山岸さんからメールが来ていることに気づく。
「タワーの外で事務所に連絡をしていたよ。
そしたらタワーの中に入れなくなってしまった。
無事ならメッセージでもいいので連絡ください」
どうやら山岸さんも無事みたい。
わたしは人々の非難の波が落ち着くのを見計らって、もう少し電波が入るところを探しながら控え室から外に出た。
ピーク時よりは人は減ったものの、まだ大勢の人が避難をしようと押し寄せていて、わたしは後ろから歩いてきた人混みに肩をぶつけてしまう。
「あっ!すみません!」
その拍子に思わず足がもつれて、ヨロ…と転びそうになった時、誰かがわたしの身体を抱きとめた。