【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第13章 ZERO
安室side
サミットの予定だったこの日、コナンくんの様子を盗聴して尾行していると、彼が真剣な顔をして何かに耳を傾けているのを目撃した。
「捜査会議の盗聴かな?」
すぐにピンと来た僕は、挑発的にコナンくんに話しかける。
「毛利小五郎のこととなると、君は一生懸命だね。
…それとも、蘭ねぇちゃんのためかな?」
彼が一体何者かは分からない。
ただ、普段から彼を見ていると、推理力と洞察力、それに蘭さんに向ける眼差し。
どれをとってもただの小学生には思えない。
睨み合っている時、僕が呼び出しておいた風見が近付いて来た。
「なぜ、私を呼んだんです?
降谷さん…?」
まだ何も気付いていない様子の風見に呆れながら、僕は彼の腕を思い切り捻る。
そして、袖につけられた盗聴器を回収した。
「これでよく公安が務まるな」
「…すみません」
それだけ言い残し、僕はその場を後にした。
まぁ、僕もコナンくんのスマホに細工をして盗聴したりしてるから、人のこと言えないな。
ふぅ…とため息をついてその場から立ち去った後、雨が降って来た。
「雨…」
リラは、濡れていないだろうか。
さすがに、今日も仕事でずっとスタジオに缶詰か。
ふとした時にリラを思い出すクセがついてることを自覚すると、僕は日本橋の下で雨宿りをした。