【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第13章 ZERO
安室side
今日はポアロの前に風見と警視庁で情報交換することになっている。
僕は毛利先生へ差し入れという名目で警視庁の中に入った。
受付を済ませ、中のロビーに進むとよく知った顔が目に入る。
「コナンくん…」
僕が恐ろしいと思っている男の一人。
彼の名前をポツリと呼んだあと、彼と目暮警部の会話に耳を澄ませた。
「新一兄ちゃんが小五郎のおじさんを助けるために、どんな情報でもいいから欲しいって!」
コナンくんが子供らしい声でそう言っているのを聞いた僕は、つい意地悪が働いてコナンくんに話しかけた。
「毛利先生が…どうしたって?」
「…聞いてたの?」
「何が?僕は毛利先生が心配でポアロから差し入れを持ってきただけだよ」
そう言った僕に何も知らない目暮警部が話しかけた。
「あ、毛利くんならもうここにはいないよ…」
その目暮警部の言葉にかぶせるように、コナンくんが意味深に僕に言った。
「送検されたら原則、身柄は拘置所へ行く…
安室さんが知らないはず無いよね…」
「へぇ、そうなんだ…君は相変わらず物知りだね」
さすがにこの状況で更に突っ込んで話をするわけにも行かず、
僕はいつもみたいに笑ってはぐらかして二人の前を立ち去った。
ちょうどその時、僕が進んだ進行方向から、風見が歩いて来た。
そしてすれ違う際に
「2291、投入成功…」
と報告を受けた。
2291とは、公安の協力者として送り込んだ毛利探偵の弁護人だ。
無事、怪しまれずに弁護士として投入が完了したらしい。
僕はその報告を聞くと、午後からのポアロのバイトのため警視庁を後にした。