【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第13章 ZERO
ゴロンとベッドに寝転がると、安室さんがちゃんと帰ってきてくれた安心感もあって3秒で寝落ちした。
さっき安室さんが言った言い訳は、明らかに怪しかったけど。
いい。気にしない。
彼の言葉がわたしにとっての真実だから。
安室さんに抱きしめられると、わたしが一人で悶々と考えていたことなんて全部どうでもよくなる。
そのぐらい、今のわたしは安室さんに染まってる。
だけど次の日も、その次の日も朝起きるとやっぱり安室さんはいなかった。
例によってテーブルの上に書き置きがしてある。
ごめん。今日も仕事で遅くなる。
先に寝てていいから。
連絡もあまり返せないかもしれない。
昨日と同じような内容の書き置きを見ながら、わたしは小さくため息をつく。
これまでだって、仕事で遅くなることや帰らないことはたくさんあったし、
逆にわたしがテッペン越すこともあった。
こんなの、平常運転のはずなのに…
「探偵の仕事って、不規則だし忙しいものだよね…?」
メモを手に取りながらそんなふうにポツリと呟くけれど、もちろん誰も返事をしてくれない。
わたしは気を取り直して仕事に行く準備を始めた。
一人で悩んでいてもしょうがない。
安室さんの仕事が落ち着いたら、ちゃんと話そう。
あの写真を偶然見てしまったこと
ヒロと安室さんの関係
わたしはヒロとどうやって知り合って、どうやって別れたのか
降谷零って、一体誰なのかも。
全部、ちゃんと聞こう。
ピリリリリリ
ふと、充電器に挿していた自分のスマホが鳴った。
「はい」
「あ、Lila?
例のサミット会場横のカジノタワーでのライブのことで、急遽打ち合わせすることになった。
午後の仕事の前に1時間。
前倒しで迎えに行くからそのつもりで」
「了解ですー」
苦労の耐えない山岸さんが焦った様子で電話をかけてきた。
そりゃ爆弾テロという噂だし、来週のライブは無理かな…
そう思いながら、予定より1時間仕事が早まったこともあり、わたしは足早に外出の準備を始めた。