【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第12章 諸伏景光の隣には
安室side
「今から帰るよ」
そうリラに連絡をしたけれど、リラからの返事はなかった。
どうしたんだろう。
今日は仕事は取材1本だけだと言っていたから、今頃料理で忙しいのか?
そう思いながら、自宅の駐車場に車を止め、もう一度スマホを見るがやはり返事は無い。
不思議に思いながらも、リラに朝ぶりに会えるのが嬉しくて、僕は上機嫌に玄関のドアを開けた。
「ただいま」
そう声をかけて家の中に入るが、リラからの返事はない。
「…リラ?」
リラの名前を呼びながらLDKのドアを開けると、キッチンに立つリラと目が合った。
「あ…おかえり」
ぎこちなく笑ったリラに近づき、後ろから抱きしめてリラの匂いを嗅いだ。
「ただいま。…どうしたの?何か合った?」
「…ううん、なんでも?
あ、ご飯作ったから食べよ?」
リラはそう言いながら笑うと、僕の腕の中からするりと抜け出し、ダイニングテーブルに食事の準備を始めた。
今日の夕食はブリ大根らしい。
「手伝うよ」
「いい!」
「…リラ?」
「あ…手伝いはいいから、手洗ってきて?」
リラの様子が変なことに気が付きつつ、仕事で何か合ったのか?と思うだけで、まさか僕の正体にリラが勘付いていることを、僕は想像もしていなかった。