【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第12章 諸伏景光の隣には
ヒロと全く同じ経験をしたわけじゃない。
だけど、わたしの過去も十分すぎるぐらい真っ暗だった。
ただ一つ、ヒロと共通することは
他人から一斉に同情の眼差しを向けられた過去があるということ。
あの頃のわたしは、同情されるのが一番苦しかった。
外を歩くと、指を刺されて可哀想と言われる。
周りの大人はみんな、憐れむような目で見てくる。
同情なんて、されたくなかった。
その話をした時、ヒロはわたしを見ながら少しだけ微笑んだ。
「…同じだな。俺と」
そう言いながら、わたしの後ろ頭に手を添えたヒロ。
わたしの髪が、ヒロの指に絡む。
そしてゆっくり、ヒロがわたしの頭を自分の方に近づけ、
ヒロもこちらにどんどん近づいてくる。
「ヒ…」
彼の名前を全部呼ぶ前に、唇をキスで塞がれた。
わたしの、ファーストキスだった。