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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第12章 諸伏景光の隣には




安室side


RX-7に乗り込みエンジンをかけ、バックミラーで自分の顔を見ると、完全に緩んでる。

まずい。今日は公安の降谷さんの日だ。
また風見に、顔が緩んでいると指を刺される。

フゥと深呼吸をして慌てて警察官の顔を作ったとき、車のラジオからリラの曲が流れた。

そのタイミングでまたリラの顔がポワンと頭に浮かぶ。


この1ヶ月、毎日リラにキスしてる。
個人的には、自分の気持が動いたときにしようと思っているけれど、その回数が自分が思っている以上に多くて、気付けば毎朝、毎晩、そして二人でいるときは常に。
隙あらばリラの唇を狙っている自分がいる。

リラにキスをすると、言いようのない幸福感に包まれる。
みんなの憧れの的であるLilaを独り占めしているという優越感。
それと同じぐらい罪悪感もある。

リラに対して、自分の本名も本当の素性も明かせていないのにキスをする罪悪感。

それが、未だ彼女を最後まで抱いていない理由なのかもしれない。


本当は、最後までしたい。
リラのもっと近くに行きたい。
もっとリラの全部を見たい。

そう思えば思うほど、こんな自分がリラの初めてを奪う資格なんてあるのか?と自問自答している。


はあ…とため息をついたとき、僕のスマホがブルった。


安室透用のスマホ。
画面を見るとリラからLINEが来ていた。


「お仕事、頑張ってね!」


と一言。

たったそれだけで、引き締めたはずの僕の顔がまた緩む。


「…キリないなこれじゃあ」


はあ…とまたため息を付いて、埒が明かないこの状況を半ば諦めながらRX-7のアクセルを踏んだ。


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