【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第11章 前の彼女 ☆
安室side
「…今日一緒に働いてた女の子、元カノなんでしょ?」
「え…」
リラがそれを知っていたことに、驚いて思わず声が漏れた。
どうして知ってるんだろう。
そして奇しくも、風見が言ったとおりの状況になっている。
あいつも、優秀な刑事だな。
少々みくびっていたよ。
そんなことを呑気に考えていると、リラが目に涙を溜めながら僕を見て言う。
「あの子のこと、まだ好きなんでしょ?」
…まさか、今日機嫌が悪かったのはずっとそんなことを考えていたのか…?
そんなのまるで…
「…妬いてくれたんですか?」
「…っ!そうだよ!悪い?!」
ド直球にそう聞くと、リラは顔を赤くしてプイッとそっぽを向いた。
…いや、何ですかその可愛い反応…
「リラ…」
可愛くて、愛しすぎて、僕は抱きしめていたリラの身体をより一層強くぎゅっと抱いた。
「…抱きしめて、誤魔化さないで」
リラは少しだけ怒りながら、そんな可愛いことを言ってくる。
まいったな…
リラが怒っているのはわかっているのに、僕は逆に顔が綻ぶ。
リラは普段、凛としていて、仕事第一で、嫉妬なんてしないと勝手に思ってた。
だから、僕のことを想って妬いてくれたと思うだけで、胸がぎゅんと絞られる感覚がして、苦しい。
「誤魔化してるつもりは…ただ、可愛すぎて。」
「可愛くないよ…わたしなんて、今日ずっとそのことばかり考えて、醜い…」
そう言いながらリラは可愛い顔を思いっきり顰めながら下を向いた。