【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第11章 前の彼女 ☆
さっき、誰?と聞かれた時、本当は僕の彼女だよって言いたかった。
だけど、リラと付き合っていることを無闇に話してどこからか噂になることは避けたかった。
風見にも、紹介できなかったし。
だから「毛利探偵の依頼人」と偽った。
そんな僕の努力も虚しく、彼女とはバレなかったものの、僕が彼女を好きだということが直ぐにバレた。
ドンピシャで当てられた僕は思わず口元を手で覆う。
「…どうしてわかった?」
「わかるよー!安室さんがさっきの人を見る目で。
…あれ?もしかして前にテレビで告白してた芸能人のひと?」
「…そうだよ」
「え!すごい!!
芸能人だよ?!わたしなんかより1億倍良い女だよ!
わたしが言えることじゃないけど…幸せを願ってる。
心から。」
そう言いながら、元彼女は僕を見た。
別に天秤にかけて、リラの方が優れているから好きになったわけじゃないんだけどな。
そう思いながらも、僕は何も言わずにただ頷いた。
「うん。ありがとう。
…なんだか、気付いたらものすごく好きになってたんだよな。
…君よりも、ずっと」
「…そうあってくれないと、困るよ!
じゃあ一応元恋人として忠告!
あの子以外の女の子に優しくしちゃだめだよ。」
「…耳が痛いな…」
そう言って笑うと、お客さんにオーダーを頼まれ、元彼女は慌てて接客へ戻った。
いつもより、バイトが終わるまでが長く感じながら、僕はずっとリラのことを頭に浮かべながら仕事をこなしていた。