【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第11章 前の彼女 ☆
僕は観念して風見に話した。
「…彼女が、出来たんだ」
「…えええぇっ!」
風見は心底驚いたように目を見開いて、飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「汚いな」
「すっすみません!え!彼女!?復縁じゃなくて、新しい彼女ですか?」
「ああ。」
「あの、差し支えなければどなたか教えて…」
「…見てないのか、お前」
「は?何をです?」
どうやら風見は例の公開告白をTVで観ていないらしい。
そりゃそうか。普通に仕事中だっただろうしな…
「彼女が誰かは…今は言えない」
さすがに、リラの立場上ホイホイ付き合っていることを言うわけにもいかない。
まあ、変装もなしに何度か外で手を繋いだりしているし、おそらくあの告白もネットでしばらく騒がれるだろうから、バレるのも時間の問題だろうけど…
そんな僕を風見は心配そうな目で見て来る。
まるで、無理して新しい恋をしているんじゃ…と言いたげな顔だ。
僕は思わず畳み掛けるように言った。
「…でもまあ、好きだよ。ものすごく」
思わず本心でそう言うと、風見は顔を少し赤くしながら言う。
「よ、良かったです。
…もし紹介できるタイミングがあれば、ぜひ…」
「考えておくよ」
そう言うと、風見も気を取り直してまたサミット会場の視察の話を再開した。
「それはそうと、降谷さん今日はこれから…」
「あぁ、これからポアロだ。」
そう言ってスマホで時間を確認した。
そろそろポアロに向かう必要がある。
今日は、例の元彼女と同じシフトだ。
「…彼女…いや、元彼女と一緒の喫茶店で働いていること、今の彼女は知ってるんですか?」
風見のその何気ない一言に、僕は一瞬フリーズした。
「…あ」
「あ。って…
バレたら面倒ですよ、きっと」
そういえば、言ってないな。
でも、もし言って、「ポアロを辞めて」と言われても困る。
あそこでのバイトは、色んな意味で好都合なんだよ…
それに、別にわざわざ改めて言うことでもないような。
「降谷さん、時間大丈夫ですか?」
「ああ。じゃあ、僕は行くから。
当日はくれぐれもよろしくな」
そう言い残し、風見から言われたこともそこまで深く考えないまま僕はカフェを後にしてポアロへと向かった。