第11章 前の彼女　☆

「で、聞きたいことってなんですか？」

「…単刀直入に聞くね？
ヨーコちゃんって、したことある！？」

「…？何をですか？」

「いや、だからその…」


かああっと顔を赤くしてもじもじと何か言いたげなわたしを見て、察したのかヨーコちゃんもぼっと顔を赤くした。


「なっ、何をいきなり！」

「その反応、もしかしてもう済…」

「…そりゃあ、何度か彼氏いましたし…」


そ…そうなんだ。
ヨーコちゃんはもうとっくに経験済みだったんだ…

これは毛利探偵が聞いたら卒倒するな…

全国に数多といる沖野ヨーコファンの心情をお察ししながらも、わたしはいかに自分の貞操観念が固かったのかを自覚する。


というか、やっぱり付き合ってたらするもんなの？！
今まで彼氏がいたくせに身体を許さなかったわたしって、もしかしたら相当面倒な女なんじゃ…
そりゃ振られるわけだ…


目の前で百面相を繰り広げるわたしを見て、ヨーコちゃんが半笑いで言う。


「あの…リラさん。
聞きたいことってまさかそれ…？
え…もしかして、リラさん…」

「…まだなの。」

「えええー！！うそ！？」


今度はヨーコちゃんが驚いて声を上げた。


「え、だってリラさん今まで…俳優のあの人と…モデルと…あと野球選手…あと…」


わたしが今まで噂になった元カレをヨーコちゃんが指折り数えながら言う。