【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第2章 運命を信じる?
安室side
RX-7を飛ばして自宅に帰っている時、適当につけていたラジオから、今日の昼間に聴いた歌声が流れた。
僕は無意識に、ボリュームをカチカチと上げた。
歌っているのは違う曲なのに、歌声を聴いただけで彼女の曲だとわかる。
透き通る高めの歌声。
どこか悲しげで儚げな曲。
毛利探偵が「惚れた好いた別れたの曲ばかり」と言っていたが、確かにそうだ。
けれど、彼女の曲は初めから最後まで聴くと、小説を一つ読み終わったような、映画を一本見終わったようなそんな気持ちになった。
まだ数曲しか知らないけど。
「きっと、わたしなんかより零を大事に想ってくれるひと、必ずいるよ」
ふと、そう言った僕の元彼女を思い出す。
さっきまで一緒にバイトしていたあの子。
まだ性懲りも無く、大好きなあの子。
次の恋なんて、当分考えられないな。
というか、彼女以上に好きになれるひとは現れるのだろうか。
Lilaの曲を聴きながらついそんなことを思った。