【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第2章 運命を信じる?
事務所が用意してくれた自宅マンションに帰ると、誰もいないただ広いだけのシンとした部屋がわたしを迎えた。
「ただいまー。」
そう言って部屋に入り、ベッドに倒れ込み、先程ポストから引き取った書類の封を開ける。
クレジットカードの明細に混じって、1つの不審な封筒が目に入った。
差出人は不明。黒い封筒で切手も貼ってない。
「またか。」
はぁー。っとため息をついて中身を開けるとそこには
【おかえり。今日のリラも可愛かったよ。
snidelのワンピース、よく似合ってる】
と書いてある。
数ヶ月前から、こんな手紙が自宅ポストに入っていることがたまにある。
ここに書かれてるワンピースは衣装じゃなくて私服だ。
きっとファンに自宅バレちゃったんだろうな…
これまでもらった内容は、わたしがその日お昼に食べたものや、コンビニで買ったものについて書いてあったり、喉が枯れていたらのど飴が入っていたり、雨に濡れて帰ったらタオルが入ってたり。
いよいよ怖くなってきたのだけど、ストーカー被害にあったなんて報道されたら、曲とは違うところで知名度が上がってしまう。
正直それは避けたい。
「はぁー。どうしようかなぁ…
でもまあ物くれてるだけだし、ほっといたら収まるかな」
そんな風にすこぶる呑気に考えていた。