【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第10章 初めてのデート ☆
ファンの女の子と別れた後、駐車場に停めてあったRX-7に乗り込んだ。
助手席に座ってシートベルトをしようとしたとき、ふと手を止めてリラが声を上げた。
「…あ。」
「?どうかした?」
忘れ物か?と僕が首を傾げると、あー!と額に手を当てながらリラが嘆く。
「しまったー!
さっきの子に、安室さんとのことSNSに書かないでねって言うの忘れてた」
「…まあ、大丈夫じゃないですか?
あの子、僕なんて目に入ってなかったよ」
隣にいる僕と一切目が合わなかったしな…
多分きっと、僕を彼氏だと認識していない気がする。
そんな風に思いながら僕もシートベルトをしようと手をかけた時、リラがじっと僕を見ながら言う。
「安室さんのことを目に入らない女の子なんているの?」
綺麗な瞳で真っ直ぐ僕の目を見てそう言うリラ。
そういうとこだよ…
そんな何気ない言葉でも、僕の心臓をピンポイントで突いてくる。
「リラ…」
僕は、助手席に座るリラに運転席から強引に唇を重ねた。
「んっ…」
僕にしては珍しいと思う。
基本的に、ちゃんとキスの準備をする時間を与える派だから。
数秒口付けた後、閉じていた目を開けながらゆっくり離した時、唇と唇が離れる、ちゅ… という音が耳に響いた。
「っ…ど…したの?」
「リラ…僕も、サイン欲しい」
「…え?!いる!?サインなんて今更…」
サインをもらうより、もっと特別なものをたった今あげたでしょ?
なんて言いたげなリラの髪を撫でながら、僕はじっと目を見て言った。
「リラのものは、全部欲しい」