【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第10章 初めてのデート ☆
リラは、みんなの星なんだから、仕方ないな。
そう思うと同時に、僕だけが独り占めできたらいいのに。
そんな欲張りな考えまで浮かんでくる。
握手をしたあと、その子のスマホケースにサインを書いてやるリラ。
サービス精神旺盛だな…
ずっと隣にいて、なんならさっきまでLilaと手を繋いでいた僕なんて一切眼中に無いぐらい、その女の子はリラの顔をジーッと見ている。
「はい。」
サインが書かれたスマホケースを受け取った時、女の子は涙を浮かべながら言った。
「私、Lilaの歌にいつも励まされてて…
実は失恋して一度本当に死のうかなって考えてたことがあったんです。
そんな時、Lilaの曲を聴いて、いっぱい泣いて、救われました。
これからもずっと、応援してます!」
バッと頭を下げながらそう言われたリラは、その子の頭を撫でながら言った。
「生きていてくれて、ありがとう。
わたしも、本当に嬉しいよ?」
あぁ。
リラが人を惹きつける理由が、わかった気がする。
もちろん、容姿端麗、歌が馬鹿みたいに上手い
だけどそれだけではなくて、
芸能人にはそぐわない、真っ直ぐさ。
それがきっと、多くの人を魅了するんだろう。
その言葉を聞いたファンの女の子は、心底嬉しそうに笑って言う。
「これからもずっと一生応援します!
ずっと、歌い続けてほしいです!」
「頑張るね」
その子の頭をぽんぽんと撫でると、リラは片眉を下げて笑った。