【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第10章 初めてのデート ☆
安室side
博物館の中は平日という事もあり、人は少なく、ゆったり回ることができた。
途中から繋いだ手は、まだ固く結ばれたまま。
まるで、学生の頃の恋みたいに、手を繋いでいるだけで心臓が煩い。
リラの手は少し冷たい。
僕は手が温かいから、一生繋いでいられるな…
そんなことを思いながら科学博物館を堪能した僕たちは、駐車場へ向かっていた。
その時だった。
「あ、あの!もしかして…Lilaさんですか?」
1人の女性がこちらへ走ってきて、リラを見てそう言った。
ヤバい。バレた。
そりゃそうだ。
今日のリラは伊達メガネしかしてない。
こんな風に僕と手を繋いでいて、大丈夫なのか…
そう心配していると、リラはその子に微笑みながら言った。
「うん。よくわかったね」
「わ、わたし!Lilaさんのファンクラブも入ってて、この間の武道館も行きました!
…あの、写真撮ってもらってもいいですか?」
「…ごめんね。写真はダメなの。
握手とサインならいいよ?」
「じゅ、十分です!」
そう言ってその子は自分の手をゴシゴシ拭いて、リラの方へ手を差し出してきた。
「…安室さん、手、離してもいい?」
「あ、あぁ」
僕と繋がれていたリラの手は、するりと僕の手から離れてその女の子の手を両手で握った。