【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第10章 初めてのデート ☆
リラに、話すべきなんだろうな。
本当は、安室透じゃない。
降谷零という名前だ。
職業は、カフェのウェイターでも探偵でもない。
公安警察…警察官だ。
だけど言ったら、この子を危険に晒すことになる。
巻き込みたく無い。
リラは何も心配せず、ただ大好きな歌を思いっきり歌っていて欲しい。
眩しいぐらい輝くスポットライトの下で。
色んなことを一気に頭の中で考えていると、リラは僕を見て微笑みながら言った。
「もう見せてるよ?安室さんにしか見せない顔」
「え?」
「…寝顔見せたの、安室さんが初めて。
まあ、ストーカーに隠しカメラで写真撮られたことはあったけど、リアルにわたしの寝顔見たの安室さんが初めてだよ。」
「本当に?彼氏いただろ?」
「いたけど、泊まるのはわたしが断ってたから。」
「…なのに、僕とは一つ屋根の下で?
それにまだ知り合ってすぐだったのに」
「うん。…安室さんは、今までわたしが付き合った人とは違ってた。
誰より、優しかったから…」
リラ。
それを言うなら僕も同じだ。
あの日、君の歌声を聴いて僕はまた走り出すことができた。
存分に泣くことも出来た。
そしてまた、恋をすることができた。
君の歌は、この世の何よりも優しかった。
僕は隣にいるリラに、そっと手を差し出した。
「リラ。手、繋ごう?」