【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第9章 I fancy you
安室さんの家に着いた。
まさか、またこの玄関ドアを開けて、中に入るなんて思ってなかったから、初めて来たときより緊張してる自分がいる。
「おじゃまします…」
よそよそしく、そう言って中に入るわたしを見て安室さんが笑った。
「ふ…。つい昨日まで、ただいまって言ってた癖に」
「そっ、そうだけど」
だって、彼女になってから初めてこの家に足を踏み入れるわけで、緊張もするし、息もちゃんと出来ない。
「ほら、ちゃんとただいまって言って?」
「…ただいま」
「うん。おかえり」
そう言いながら、玄関に入ったわたしを安室さんが後ろから抱きしめた。
ぎゅ…と力を込めて抱きしめられ、安室さんの吐息が首のあたりをくすぐる。
わたし、もしかしてそのうち安室さんにドキドキさせられすぎて心臓麻痺で死ぬんじゃ…
そんな心配もしてしまうぐらい、今わたしの心臓は物凄く大きな音を立てて脈打ってる。
「…まだ、君の気持ちをちゃんと聞いてません」
「え…」
「僕と一緒にいたいのは、どうして?」
安室さんの声が、後ろから耳元で反響する。
ずるいよ…
わかってるくせに、言わせないで…
そう思うのに、安室さんのこの甘い媚薬みたいな声に逆らえない。
「っ…安室さんが、好き。
…大好き…」
安室さんが好き
言葉に出して伝えた瞬間、胸がギュッとなった。
「リラ…」
安室さんは優しくわたしの名前を呼びながら、わたしの肩を抱いて玄関の壁に追い込んだ。