【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第9章 I fancy you
「どうしたんだよ!Lila!
生放送であんなこと言うなんて!」
「うちのLilaが!大変申し訳ございません!!!!」
生放送の出番が終わると、控室に呼び出されたわたしと山岸さん。
プロデューサーがカンカンに怒ってるのを、山岸さんは必死に頭を下げた。
「ほら、Lilaも謝りなさい」
「…すみませんでした」
山岸さんに促され、どう考えてもわたしが悪いこの状況で、素直に謝るしかなかった。
「今回は大目に見るけど、次はないからね?」
「はい…」
こっぴどく怒られるのは久しぶりだ。
それに、23歳にもなって、まるで学校の先生に怒られるみたいな叱られ方をするとは思っても見なかった。
まあ、自業自得だ。なんの弁明も出来ない。
一通り頭を下げ、失礼しました…と控室を出たあと、山岸さんはため息をつきながらわたしに言う。
「Lila、とりあえず明日明後日はオフにするから、ゆっくり休んで。
きっと疲れているんだよ。色々あったし」
「はい…」
「じゃあ、僕は後処理しないといけないから、先にタクシーで帰って?お疲れ様」
「お疲れ様です…」
普段から気弱な山岸さんが、さらに小さく見える。
多大な迷惑をかけたことを後悔しつつ、だけどあそこで発散しないと歌えなかったんだよ?
あの後CM明けのわたしのステージは完璧だった。
あそこで、このモヤモヤを払拭しなかったら、歌えてなかった。
とは言え、社会人としては失格だな…
安室さんは、見たかな…
見たとしたら、どう思ったかな。
何言ってんだこいつ。
今更、なんだよ。
そんな風に思ったかな。
それとも、僕も同じ気持ちだよって思ってくれた?
開き直りと罪悪感、両方が同時に押し寄せてきて、もうわたしの脳はキャパオーバー。
フラフラになりながら、局の通用口から外に出た。