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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第9章 I fancy you




てっきり、ちゃんと曲の説明をするのだとばかり思っていた僕は、次のリラの言葉に思考が停止する。


「…わたし、安室さんともっと一緒にいたい。
もっと、安室さんのことが知りたい
安室さんのそばにいたい。」


曲の説明なんて一切せず、カメラをまっすぐ見て言うLilaに、司会者が焦って声を挟む。


「り、Lila?生放送だよこれ…」

「このままじゃ、胸が苦しくて心臓が止まっちゃう。
死んじゃうよ…」

「い、一旦CMいきましょうか」


静止を一切聞かずに続けるリラを止められず、
慌てた様子の司会者がスタッフに目配せをして、不自然なタイミングでCMが流れた。



「あ…安室さんって、安室さん??」


ポアロにいた客、店員、全員が僕の方を一斉に見る。

僕は…一体何をやっているんだ…
こんなことまで、リラに言わせて…


「…すみません。今日、バイト早退します」


エプロンを外しながら店長にそう言って、いいよ。と言われる前に僕はポアロから走った。


思えば僕はずっと、本気で人を好きになるのを恐れていたのかもしれない。


リラのことが好きだと自覚した時、怖くなった。

それはリラを汚せない。と思う気持ちと、もう一つは、どうしようもなく好きになってから僕の元から離れていくんじゃないかと言う恐怖。

だから僕は、リラから距離を取った。


本当は、抱きしめてキスをして、好きだって言いながら頭を撫でたかったのに、ワザとサヨナラなんて言ってみたり

僕なんかが汚せないなんて言いながら、何度も自制できずにキスをしたりして。


思い返せば、矛盾だらけの不誠実な僕の行動を、リラは何も言わずに受け入れてくれた。


もう、恋なんてできないと思ってた。
けれど、今度こそ、大切な人をずっとそばで守りたい。


リラ…
君に今すぐに伝えたいことがある

君の目を見て、伝えたいことが…


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