【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第9章 I fancy you
そして、前を見てわたしは目を見開いた。
「白の…RX-7…」
うわごとのようにぽつりとその車種を呟いたわたし。
そこには、散々乗った白いRX-7が停車している。
そして、運転席から人が降りてきた。
「…あ、安室さん…どうして…」
降りてきたのは安室さんだった。
安室さんは、呆れたように笑いながらゆっくりとこちらに向かってくる。
「どうしてって…全国放送で名指しであんなこと言われたら、来るでしょう。普通」
…なんだ。
わたしが、突拍子もないことしたから、心配して来てくれただけか…
あからさまにしゅんとした顔をするわたしを見て、安室さんはため息をつきながら、くしゃ…と頭を掻いた。
「…なんて、ずるいですね。
何でも君に言わせようとするのは。」
「…?」
言った意味が分からなくて、思わず安室さんを見て首を傾げた。
そんなわたしを、安室さんの甘い瞳が捉える。
「リラ。僕も、君と同じこと考えてたよ。
君のことをもっと知りたい。
…リラと、一緒にいたい。」
「…それって…」
そんなの、どうしたって期待しちゃうよ…
期待しちゃだめなのに、自惚れちゃだめなのに。
必死にそう自分にいい聞かせてるわたしに、安室さんは一歩、また一歩とわたしの方へ歩いてくる。
そして優しい顔で微笑みながら、わたしが何度も夢見た言葉をくれた。