【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第9章 I fancy you
安室side
リラが出て行ったドアがパタリと閉まった。
さよならを僕から言ったのは、リラから先に言われたくなかったから。
…思っていた以上に、僕はちゃんとリラのことが好きだったみたいだ。
彼女が出て行ったドアを見つめながら、ひょっこり戻ってこないかな?なんて思ってた。
…宅配業者に連絡しないと。
そう自分に言い聞かせて、リラが詰め忘れている荷物がないか、部屋をチェックする。
チェストの一番下の段の引き出しを開けると、綺麗に空っぽだ。
…ここは、定期的に寂しいぐらい空っぽになるんだな…
はは…と力無く笑って、スマホを取り出した。
荷物を送ろうとして電話をかけるが、ふとその手を止める。
もしこのまま、荷物を送らなければ取りに来てくれる?
そしたらまた、リラに会える口実が作れるのか?
なんて、男らしくないにも程があるな…
そう思うのに、僕の指は発信ボタンをタップしようとしない。
リラのことを、汚してはいけないと思う気持ちと、リラを僕のものにしたいと言う気持ちがひしめき合って、身動きが取れない。
「…重症だな」
はぁ…とため息を吐きながら、頭をくしゃ…と掻いてその場に座り込んだ。
僕は一体、どうしたいんだよ…