【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第8章 タイムリミット
切なくて、胸が苦しい。
この気持ちって、安室さんに会わなくなったら自然に消えるんだろうか。
また、誰かに告白されたら、まあいっかな。って付き合ってしまうんだろうか。
もとのわたしたちに戻るだけなのに、こんなにも寂しい。
ごろん…とベッドの端に寝転がってそんなことを考えていると、安室さんが髪を拭きながら戻ってきた。
ベッドルームと併設されているLDKのソファーの上に座ると、安室さんが笑って言う。
「…今日は、ソファーで寝るよ」
「え…どうして?」
「…いや、やっぱり、付き合ってもない男女が一緒のベッドで寝るのは良くないし。
今更だけど」
そんな風に、突然距離を置くんだ…
わたしは思わず立ち上がってソファーに座る安室さんのTシャツの裾を引っ張った。
「…やだ」
「…?」
「…最後なんだし、一緒に寝ようよ…」
「そんなの、理由になってませんよ」
わかってるよ…
無茶苦茶言ってるってことぐらい。
だけど…離れたくないんだもん。
残された時間があと少しなら、出来るだけ近くにいたい。
正直に、好きですって言えばいいのに、必死に誤魔化して、裾を握る手をぎゅっと強める。
子供みたいなわたしの頭を、安室さんは呆れたようにため息をついてぽんぽんと撫でた。
「仕方ないですね」
安室さんからしたら、わたしなんて子供だ
きっとこういう時、セクシーに大人っぽく誘惑できるような大人の女と恋愛してきたんだろうな。
わたしみたいに、ただシャツの裾を引っ張るようなお子様なんて、眼中にない。
それでも、好き…
好きなの。
好きなのに…