【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第8章 タイムリミット
僕はリラを助手席に乗せると、エンジンを蒸した。
もしかしたら、助手席に座らせるのも最後かもな…
そう思いながら運転していると、いつもよりも自宅に到着するのが早く思えた。
「…もう着いたのか」
「…うん。はやいね。」
リラも同じことを思っていたようで、隣でふ…と笑って僕を見た。
そう言えば初めて一緒にランニングしたときも、こんなこと言ったな。
『どうしてか、今日は身体が軽い気がしますよ』
『わたしも!わたしもそう思ってたの』
今思えばあの時はもうすでに、僕はリラのことが好きだったんだろうか。
そう思いながら、助手席に座ったリラを見た。
よく、車の中でリラの音楽の話を聞いた。
歌が好きと話す横顔が頭から離れない。
好きだよ。
そのたった一言が言えなくて、僕は同じように笑い返すと2人で車を降りた。