【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第8章 タイムリミット
安室side
「これで、ようやく自分の家に帰れますな!リラさん。」
毛利先生のその言葉を聞いた時、僕はハッとした。
そうか、僕とリラの生活もこれで終わりだ。
もう、一緒にいる理由がひとつもなくなったのだから。
まさか、今日が最後に一緒に過ごす夜になるとは思っておらず、心の準備がまるで出来ていなかった。
わかっていたはずなのに、いざその時が来るとこうも寂しく思ってしまうのか…
僕は、寂しいと感じていることを悟られないよう、精一杯笑って言った。
「そうですね。リラ、家に帰れるよ。
良かったですね」
僕がここで、暗い顔をしたらリラが気を遣ってしまう。
そう思って笑ったのに、リラは僕の笑顔を見て寂しそうな顔をした。
「そうだね…」
それだけ言うと、俯いて話さなくなった。
そんな顔、しないで欲しい。
離れがたくなる…
そう思いながらリラの髪を撫でようと手を伸ばした時、毛利先生の声に遮られてぴくっと伸ばした手を引っ込めた。
「なら、すぐに帰って荷造りをしたほうがいい!
忙しいでしょう。リラさん」
「…そうですね。そうします」
毛利探偵にそう笑って返事をしたリラは僕を見て言った。
「安室さん、帰ろ?」
「…あぁ」
きっと、帰ろう?と言われるのもこれが最後だ。