【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第8章 タイムリミット
安室side
電話はベルモットからだった。
リラに聞かれたくない電話ナンバーワンで、僕が外で電話を受けようとすると、リラが飲み物を買いに行くからと気を遣ってくれた。
電話が終わり、しばらくしたが帰ってこない。
「…どこまで買いに行ったんだ…」
そう思いながら、僕も運転席から出て、車を停めた道路に面した公園の中に入った。
自販機を見つけると、その近くにリラが男に抱きつかれているのを発見した。
まさか…例のストーカーか?
僕は急いで2人に駆け寄り、男の顔面を勢いよく殴り飛ばす。
リラを見ると、怯えた様子で身体を震わせた後、僕の身体にしがみついてきた。
当然だ。
突然男に抱きしめられたんだから。
僕はリラを抱きしめ、髪を撫でながらあやすように言う。
「大丈夫。もう大丈夫だから」
ぎゅ…っと僕の背中にまわされた手が、まだすこし震えている。
けれどリラは泣かない。
僕の前では、泣いていいのに。