【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第8章 タイムリミット
今まで付き合った人は、割り勘が多かったかも。
何なら、むしろわたしが出すことの方が多かった。
自分でも、まあ普通の人よりは稼いでると思ってるから、何の疑問もなく出していたけど、そうか…
世の中の男性は、払いたいものなのかな…
でも、家に居候させてもらい、こうやって休日もボディガードさせ、その上わたしのチートデイのご褒美まで奢ってもらうのは流石に悪いよ…
お礼に歌を歌うだけじゃ申し訳ない。
とは言っても、安室さんの欲しいものなんてひとつも知らない。
わたしは彼のこと、何にも知らない。
もうすっかり慣れたRX-7の助手席から、安室さんの運転する姿をチラチラと見た。
ピリリリリリ
すると、突然安室さんのスマホが鳴る。
いつもの胸ポケットに入れているスマホではなく、ジャケットの内ポケットから別のスマホを取り出した。
「あれ…2台持ってるの?」
「あぁ…
リラ、悪いけどすこし車止めて出ていいですか?」
「う、うん。」
着信画面を見て、相手を確認した安室さんは、そのまま路肩に車を停めた。
「…ちょっと、外で電話して来ますね」
わたしに聞かれたくない内容のようで、そう言って運転席を出ようとする安室さんを慌てて止めた。
「あっ!待って。
それならわたしが外に」
「いいですよ、君はこのまま乗っていて」
「わたし、喉渇いたからそこの公園の自販機で何か買ってくるよ。
10分ぐらいで戻ってくるから」
「…わかりました。ごめんな」
わたしが半ば無理矢理助手席を出ると、安室さんは通話ボタンを押し、真剣な表情で電話口の相手に何かを話し始めた。