第129章 自称料理人の霊
霊「俺の自信作だ!食べてくれ!!」
「美味しそう!いただきます!」
ヨルナミ「いただきます。」
クグラ「いただき〜!」
三人は料理を一口食べてみる。
「……………。(うっ…何これ…!?)」
ヨルナミ「……………。(これは…いったい何味!?)」
クグラ「……………。(おえっ…スゲー不味い…。)」
霊「どうだ??美味いだろ!?」
「…うん。美味しい。(不味いとは言えないわよね…。)」
ヨルナミ「なかなか…個性的な味ですね。(本当の事を言って成仏できないと困るから黙ってましょう。)」
クグラ「初めて食べる味だな。(死ぬほど不味い。こんなに不味いの食った事ねぇ…。)」
霊「だろ?この炒め物はな、隠し味に山羊の乳と謎の木の実の汁を入れたんだ!」
「(どおりで乳臭いわけだ…。ったく!余計なもん入れんなっての!!)あぁ…成る程ね。」
ヨルナミ「隠し味のおかげでこの味なのですね…。(謎の木の実!?なんか恐ろしい…。)」
クグラ「(このオッさん本当に料理人なのか!?)…つーかさ、実はあんま腹空いてないから…これ持ち帰り用に包んでくれねぇか?」
霊「いやいや、せっかくだから出来立てのをもっと食ってくれよ!もちろん持ち帰りたいならこっちに皿に乗らなかった分があるからそれ持ってってくれ!」
厨房の鍋にどっさりと皿に乗り切らなかった料理が入っていた。
「(おぇー!!)ははは…それはありがとう。」
そして三人は無理矢理 料理を食べ続けた。
霊「嬉しいなぁ…こんなに食ってくれて…。生きてるうちに客に食わせたかったぜ。」
「ん?オジちゃん飲食店やってたんでしょ?」
霊「やってたぞ?皿洗い担当だったけど。」
ヨルナミ「もしかして…料理を作ってたのは奥様で?」
霊「その通り!あのババア…俺の料理は凶器だとか訳の分かんねぇこと抜かしやがって…俺が料理するのは認めなかったんだ。こんなに美味そうに食ってくれる人らが居るのに……おっと!今更だけどお二人は神鞘様でしたね。神鞘様に食べてもらえるなんて…感激だなぁ。」
今更ながら紋様を見て神鞘と気付いたのである。
クグラ「なるほどな…。じゃぁ、早く生まれ変わって料理作ったらどうだ?」
霊「…それもそうだな!よし、俺は成仏しますので!お三方ありがとう!」
こうして霊は無事成仏してくれた。
