第85章 霊を信じない男
「んがー!!」
涼子は怖い顔をしながら走っていた。幸薄男とカグツチで会ったのでとりあえずカグツチへ向かっているのである。
カンナギ「ん?…うわっ!!涼子!?」
「んがー!!カンナギー!!」
カンナギ「お前なんだ?また痩せようとしてるのか?俺お前のことデブなんて言ってねぇぞ?」
「違ーう!!これ!!」
涼子はカンナギに幸薄男からの手紙を見せた。
カンナギ「ん?……そうか、脚が太いと書かれたのに腹を立てて痩せようとしてるんだな!」
「違ーう!!他にも悪口満載でしょうが!」
カンナギ「確かに…ブスだの二の腕太いだの書いてあるな…。二の腕はともかく絶世の美女じゃないってだけで別にブスでもないのにな…可哀想に……んがっ!!」
涼子はカンナギに飛び蹴りをした。
「違うだろ!!ブスも太いもムカつくが!!霊能力がインチキだの書いてあるだろ!!…私の力を信じないとは…許せん!!」
カンナギ「あぁ…そっちに腹立ててたのか。で?その男がどこにいるのか分かるのか?」
カンナギは蹴られたところを摩りながら聞く。
「この前カグツチで会っていきなり因縁付けられたからたぶんカグツチに居るはずなんだけど…あっ、その時堂々とスマホで撮ったの!後ろ姿だけど!」
涼子は幸薄男の後ろ姿の写真を見せた。
カンナギ「こっそりじゃねぇのか…。ん?…コイツこの前どこかで見たような…。」
「マジで!?無い頭を使って思い出して!…あだっ!!」
涼子はカンナギに頭をど突かれた。
カンナギ「…それが人に物を頼む態度か?」
「カンナギ様お願いします!!」
涼子は顔を上げたまま微妙に頭を下げた。
カンナギ「コイツは…ったく。…カグツチのどこかだったと思うが…ちょっと挙動不審だったからなんとなく記憶に残ってたんだが…顔の記憶が全然ねぇ!」
「あぁ…私が初めて見た時も顔の印象乏し過ぎてすぐ忘れたくらいだからねぇ…。」
カンナギは幸薄男をどこで見かけたか考える。
カンナギ「ん〜…………。」
「考え過ぎてハゲないようにね?」
カンナギ「………あっ!!そういやホニの所で一緒に働いてた気がする!結構長いこと居るのに一人未だに顔と名前が覚えられない男が居るんだよ!」
「きっとそいつだわ!!」
涼子はホニのところへ向かう。ついでにカンナギも付いてきた。