第71章 紙芝居
今日は涼子が自分で作った紙芝居を子供達に聞かせています。
『あるところにヤタカじいさんとヨルナミばあさんが住んでいました。ヨルナミばあさんは川へ洗濯へ、ヤタカじいさんはどこかに行きました。ヨルナミばあさんが川で洗濯をしていると…巨大な木の実が流れてきました。
ヨルナミ「よし!これでしばらく食費が浮きますね!ヤタカじいさん稼がないから家計が苦しくて苦しくて…。」
そう言いながら木の実を担いで持って帰りました。なかなか逞しいヨルナミばあさんです。
ヤタカ「ヨルナミばあさんやっと帰ったか。早く食事にしてくれたまえ。」
ヨルナミ「先に帰ったんならてめぇで飯くらい用意しやがれー!」
ヨルナミばあさんはヤタカじいさんにプロレス技をかけました。
ヤタカ「んがー!!ごめんなさい!助けてー!!」
ヨルナミ「この穀潰しが!どうせ女のところにでも行ってたんだろー!!」
ヤタカ「ちょっとした出来心で…キクリとは何でもないんですー!!」
ヤタカじいさんは気絶しました。
ヨルナミ「さてと、ヤタカじいさんも眠ったところだし私はこの木の実でも食べますか。」
そしてヨルナミばあさんは木の実を切ると中から男の赤ん坊が出てきました。もちろん全裸でございます。
赤ん坊「オンギャー!!」
ヤタカ「なんてことだ!赤ん坊のヨダレやらが付着したが故に食べられないじゃないか!」
いつの間にやら目を覚ましたヤタカじいさんは嘆きます。
ヨルナミ「おやおやヤタカじいさんもう目を覚ましたのかい。せっかく食費が一食分減ると思ったのに。」
赤ん坊「オンギャー!」
ヨルナミ「この赤ん坊どうしようかねぇ…。」
ヤタカ「僕は無収入な上に非常に忙しいから育てるのは無理だぞ?」
ヨルナミ「でも放っておくわけにはいきませんよ。…よし!私の乳をお飲み!」
赤ん坊「勘弁してくれー!!」
ヨルナミ「おや、喋った。」
赤ん坊「ばあさんの乳は勘弁してくれ。俺は未来の嫁さんの乳しか吸わないと決めてるわけではないが、ばあさんのだけは勘弁してほしい。」
ヨルナミ「失礼な赤ん坊だね。ところでそなたはなぜ木の実の中に?」
赤ん坊「申し遅れた。俺はクグラ!なぜ木の実の中に居たのかは知らん!」
ヤタカ「いい加減な赤ん坊のようだね。なぜクグラという名なんだい?」
クグラ「知らん!」
ヨルナミ「でしょうね。」
