第5章 ただいま現代
期末テストが終わり、ようやくあとは夏休みを待つだけとなった12年ぶりの中学校生活....
ようやく少しずつだが慣れてきたのか、リツカは違和感なく平和な学校生活を送るはずだった....
『だから〜そこ違う。場地!』
「あ!?どこがだよ!」
『ここ!問3!さっきも間違えてたじゃん。ここを解くにはこの公式を使わないと。』
机を挟んで、目の前に座る眼鏡の男のプリントをコンコン。と叩く。
「だあぁぁっ!わっかんねぇ!」
『いやここ教えるのもう5回目なんだけど....マジで中学ダブっただけの実力はあるわ....』
「もう、無理だ!!少し休憩しようぜ。」
『さっき休憩したばっかでしょ。もうこのままだと夏休み補習で棒に振っても知らないからな。みんなと遊べなくなってもいいの?』
「それは嫌に決まってんだろ!!」
『なら、わかるまで何度でも教えてあげるから頑張ろ?』
「〜チッ。仕方ねぇな。」
眉間にシワを思いっきり寄せながら、場地は再びプリントに向かう。
『はい。場地、ここ違う。これはこの公式を───ってちょっと聞いてんの?場地?』
「....圭介...」
『場地?』
「それやめろ。」
『え?』
「呼び方だよ!呼び方!いつまでその呼び方すんだよ。下の奴らが居ねー時はそれやめろ!」
『(あ〜そういう事か。)』
「"しこうこんごう"?はダメ。とか言って下の奴らの前では急に呼び方変えるしよ。」
『"公私混同"な。ごめんごめん。流石にタメじゃないオレが呼び捨てとかやばいかなって思ってさ。』
「んなの関係ないだろ。お前は俺達のダチなんだしよォ。」
『(変な所で拗ねるのは変わってないなぁ。)ほら、【圭介】。これでいい?』
「おう!」
呼び方をかけただけでご機嫌そうに笑う場地をみて、
"本当昔からこういう時だけは子供っぽいんだよなぁ"と思いながら楽しそうに笑うリツカは、場地の家で期末テストで赤点を取ってしまったという場地の勉強を見ている。
なんでも追試があるらしく、追試でも赤点を取ってしまったら夏期講習になってしまうらしい。
夏期講習になれば遊べなくなるし、集会や抗争にももちろん参加出来なくなるわけで、困った場地から助けてくれと泣き疲れたのが事の発端だった。