第4章 喧嘩賭博!?
「キヨマサッ」
今にもキヨマサのところに走り出し刺し殺してしまいそうな雰囲気を放つアッ君を止めるために、リツカはなんの躊躇もなくナイフの刃を握りしめる。
『いっ、駄目、だよ。アッ君.....』
掌と指がプツリと切れる感覚がして血がにじみ出るが、そんなのお構い無しと言わんばかりにリツカは怒りに震えるアッ君に優しい声をかけた。
「!?あお、ば....お前手が!!」
『そんなことしたら....タケミチの覚悟が無駄になる。』
「でもそれじゃ!」
『落ち着いてよ、アッ君!冷静に周りを見て。』
「え?」
リツカに促され、アッ君は周りを見渡す。
すると、先程まで白熱していたギャラリーがあまりの異様さに引き始めていた。
何度も殴られても、諦めず必死にキヨマサにしがみつくタケミチを見て、その異様さに気づいたギャラリーも最初は楽しそうにしていたキヨマサでさえも笑みを失っていた。
「もういってタケミチ!!」
「マジで死んじまうぞ!!」
「ま....だぁ....まだだよ....まだまだ。
こんなんじゃ俺の....12年ヘタレた...心は...直らねえんだ...よ。逃げて逃げて逃げて逃げて」
姉を救ってください
君にしか姉は救えない
「もうやめろ!タケミチ」
「マジでヤベェって!」
「もう引けよ!タケミチ!十分気合い見せたよ!!」
「引けねぇんだよ!!引けねえ理由があるんだよ!!」
『っ!』
ビリッと空気が震える。
誰もか血塗れになりながらも諦めず強い光を放つ瞳に目を奪われた。
「東京卍會 キヨマサ....勝つには俺を殺すしかねぇぞ!ぜってぇ負けねぇ!」
「おい!バット持ってこい!!上等だ。殺してやるよ。」
焦った様子のキヨマサはギャラリーに問いかける。
「バットって....」
「タイマンじゃねーの?」
さすがのギャラリーもこれ以上はやばいと感じ始めているのか戸惑っている。
「ハァハァハァ....」
あと少しという所でタケミチはどうやら限界が来てしまったのだろう意識が遠のき、膝から崩れ落ちる。