第16章 小さき眠り姫
「リツカ」
『ん?何?』
「ここから帰る方法を今からオマエに教える。」
真一郎はそういうとリツカの手を握りしめた。
「想像しろ。種が風に乗って運ばれて色とりどりの花が芽吹くように。オマエもあの場所へ行くんだ。」
『色とりどりの花......』
ふわ!と強い風が舞い上がり、思わず目を瞑る。
すると次に目を開けた時には辺り一面が色とりどりの花々に包まれ、花畑が目の前に広がっていた。そうだ、私にはずっと一緒だった仲間がいる。優しくて、何があっても支えてくれた仲間。
『そうだ私まだ死ねない。帰らなきゃ』
そうだそうだった。まだ私はこんなところで死ねないこんなところにまだ居ては行けない死んでは行けないのだ。私にはまだやることが残ってる!!
『杏花を助けなきゃ』
「うん」
『マイキーを1人にしたくない。マイキーにもう一度会いたい!』
「ああ。」
帰らなきゃ。
あの止まり木(彼ら)のもとへ私にはまだ救わなきゃ行けない人達がいる。
まだ終わっちゃダメだ!
『私、帰らなきゃ。』
心のしこりがすっと消えた感覚がした。
すると景色に亀裂が入り、地平線の向こうに光が見える。突然のことに驚き不安そうな表情を浮かべると真一郎は安堵した笑みを浮かべ、リツカの手を取り光の方へと歩いていく。