第15章 血のハロウィン
「やれるもんならやってみろ!」
稀咲は臆することなく、凄みをきかせる。
伊達に隊長では無いということだろう。
暫しの沈黙が流れる。
『......』
両者に張り詰めたような緊張が走り、誰もがリツカに視線を向けたとき息を飲んだ。
「リアァ?」
一向に殴ろうとしないリツカに疑問を覚えた場地が問いかけた時だ。
地面にボタボタ.....と小さな血の海ができる。
恐る恐る視線を上へと上げると、ゴホッと重い咳を繰り返し血を吐くリツカの姿があった。
『あーあ、ここまで.....か』
リツカの体から力が抜け、膝を着く。
『.....ゴフッ.....』
ビチャッ!!
刺された場所が悪かった。
背中それも胸部を刺された。
恐らく肺が傷ついたのだろう。
さっきからずっと息をする度に肺がゴロゴロと音を立てている。
肺に血が溜まっている証拠だ。
『カハッ.....ゲホゲホッ!!(ッ!!クソッ!)』
「(あとちょっと.....)」
『(あとちょっとなのにっ!)』
『「(あとちょっとでコイツを倒せるのに!!)」』
吐血と無理に動いた影響か、背中の赤黒い傷口の皮膚と肉が口を開け、血がこぼれ落ちる。
咄嗟に口元を抑えた手は赤黒い血がこびりつき、手からこぼれ落ちた血が地面を赤い鮮血で染めあげる。
どうやらリツカの身体は限界をとうに過ぎていたようだ。
いや、今まで動いていたことが不思議なくらいだった。
『ゴフッ!ッ.....(ヤバい.....意識が.....)』
ビチャビチャッ!ボタボタ.....
「リアァ!!」
『ゴホッゴホッ.....ゴフッ!はは.....ああ...これ、ダメなやつだぁ......さい、ぁ.....く.....』
痛い。背中に痛みを超えた灼熱感が走る。
あぁ、あの時もこんな感じだったな.....
なんて思いながらリツカは倒れる瞬間稀咲を一瞬睨みつけるとそのまま気を失った。