第13章 出会いは突然に【番外編】
その日は春の陽気が指す、少し暖かい日の事だった。
「リア!」
『ん?どうしたの〜?』
いつも集合に使う武蔵神社で場地に宿題を教えていると遠くからマイキーの呼ぶ声が聞こえる。
「リアの隊ってまだ副隊長決めてなかったよね?」
『へ?ああ。そうだね。』
「リアァ。まだ決めてなかったのかよ。」
『だってオレ隊長になったばっかだし....』
確かにリツカの隊には副隊長はいない。
それはリツカ自身隊長としての自覚がないこともある。
なぜなら数週間前まで壱番隊の副隊長を担っていたが、千冬の目覚しい成長を機にその席を譲ったばかりだのだ。
「でも、隊長になってもうすぐ1ヶ月だろ?そろそろ決めねーと他の隊に示しがつかねーんじゃねぇのか?」
『うーん....まぁそうなんだけど、うちの隊問題児ばっかだから。』
可愛いけどね。とはにかむリツカに場地はわっかんねぇと首を傾げる。
特攻隊はリツカの言う通りどの隊でも手を焼く溢れ者たちが行き着く場所。
やれ内輪モメだの、やれ勝手に敵対チームに喧嘩売るだの上げれば両手の指の数では足りないほどの問題を引き起こし、その度にリツカの頭を悩ませる奴が多い。
その中から隊の命運を左右する副隊長を選べなんて到底できなかった。