第2章 目を覚ましたら過去だった....
「信じられねぇよな。俺も最初は信じられなかった。でも本当なんだ。あれは走馬灯や夢なんかじゃなくて現実だったんだよ!」
2人の真剣な眼差しに最初は信じていなかったリツカもついさっきまで起きていた夢と思っていたものが現実だと実感する。
「タケミチ君...そしてリツカさん。
12年前の今日...君たちは僕にこう言いました。」
【姉ちゃんを守ってくれ】
【杏花のことを託す】
「僕は必死に勉強してあなたと同じ【警察官】になりました。」
『じゃあ!』
もしかしたら日向も杏花も生きているかもしれない!
そんな淡い期待を抱いた2つ眼を見て、ナオトは辛そうに顔を歪め俯く。
「すみません。義姉さん。姉と杏花は...死にました...」
『そん.....な.....何で....』
リツカの顔が一瞬して絶望へと変わり、ただ自分の足を見つめる。
「リッちゃん...」
「考えられる手は全て尽くしたんです!でもでもっ...」
『ナオト...』
悔しそうに自身の手を握りしめるナオトを見てリツカは眉を顰める。
そうだ。辛いのは私だけじゃない....
タケミチもナオトも同じく辛いんだ。
「僕に、僕たちに協力してください!リツカさん!君なら姉も杏花も救えるかもしれません!」
「リッちゃん。俺からも頼むよ。俺は橘を救いたい。でも今の俺の...俺たちの力じゃ足りないんだ!力を貸してくれ頼む。」
『...』
俯いていたリツカは2人の真剣な瞳で手を差し出す。
リツカは何かを迷うように目を瞑った。
もしかしたら未来を...今を変えることが出来るかもしれない。
彼も妹も死んでしまった友人たちも全員救える可能性が目の前にある。
これはチャンスだ。
みんなを救うチャンスをみすみすここで逃がす訳には行かない。
フゥとゆっくり息を吐いて、再び目を開けたリツカの瞳にはもう迷いなんてなかった。