第9章 8・3抗争
────2005年8月3日
今日は待ちに待った武蔵祭り当日。
そんな日にも関わらずリツカは朝から伍番隊の呼び出しを受け、特務隊のアジトへと訪れていた。
『はい。王手。コレで154戦50勝104敗!やっと50勝!』
「.....相変わらず強いな。オマエ。」
『手加減してたくせによく言うよ。』
「気づいてたのか?」
『150戦もしてるんだよ?ムーチョが手加減してるのなんてすぐ分かる。』
疲れた様子ではあ〜と息を吐くリツカに武藤泰宏ことムーチョが優しい笑みを浮かべる。
「それでも、オマエは飲み込みが早い。」
『ハルの方がいいよ。....で?そろそろ本題に入ろ。将棋をするためにオレを呼んだわけじゃないんでしょ?』
「ああ。」
『何かあったの。』
「.....三途」
「はい。」
どこからともなく現れた三途がリツカに束になった数枚の紙を手渡す。
「気乗りしないが.....近々内輪モメが起きるかもしれない。」
『え....どういうこと....』
「中を読んでみろ。」
ムーチョに促されリツカは資料に目を通す。
すると、2日前に渡された物より内輪モメの情報が事細かに記されていた。
「まだ完全に裏は取れてない。」
『でもこの情報量.....内輪モメがあるって言っているようなものじゃん!』
「落ち着け、この事は一応三ツ谷にも伝えてある。まだ疑惑だが内輪モメが本当だった場合どうする。俺らはオマエに従うぞ。特攻隊長殿。」
『.....なるべく、大事にはしたくない。参番隊隊長が不在に続き、その副隊長が内輪モメ.....そんな事が知られれば、確実に混乱に乗じて敵対チームが襲ってくるのは目に見えてる。それに....』
「それに?」
『アイツの気持ち少しはわかる気がするから....』
「随分と甘いな。」
『幻滅した?』
「.....いいや。なら、この件は特務だけで動く。それでいいか?」
『必要ならうちからも人員を出す。』
「頼もしいな。」
『これくらいのことはね。頼んだよ。ムーチョ、ハル』
「ああ」
「ウッス」
ムーチョからの返事を聞いたリツカはすっと椅子から立ち上がるとアジトを出るために入口へと向かう。