第7章 分かたれる道

鈍い音と共に長内の左ストレートが顔面に直撃する。


「グハァッ！！」


「ヤベェ！！モロにくらった！」


鼻が折れたのか大量の鼻血が地面を赤く染める。
それでもパーちんは倒れることは無かった。


「こんなパンチじゃ....アリも殺せねぇぞ！！」


しかし、意識が飛んでしまっているのか白目を向いていた。


「(ヤバい！意識が飛んでる！)」


「そんな....バケモンかよ長内.....！！」


あまりの衝撃にぺーやんが一瞬たじろぐ


『(パーちんっ.....そんなっ)』


「パーちん！」


痛々しい姿にリツカは思わず目をそらすと、心配したぺーやんがパーちんの側へと駆け出した。


「ぺー！！黙って見とけつったよな？」


「......ゴメン。マイキー」


「黙って見とけって.....マイキー君。酷くないっスか！？」


フラフラでもう戦うことができないパーちんを前に冷静にそして冷徹に告げるマイキーにタケミチは信じられないと言ったふうに声を荒らげる。


「パーちん。もう鼻も折れてるし、意識も朦朧としてるし、もうダメっスよ！パーちん死んじゃいますよ！止めましょうよ！」


『....』


「なんで？まだ諦めてねぇじゃん。」


そう言ったマイキーの顔は笑っていた。
目の前でボロボロになっていく仲間を前にしても、笑っていたのだ。


「(笑ってる！？ヒデェよ。マイキー君。これじゃ拷問じゃん。それになんでリッちゃんも止めないんだ！？)」


『酷いと思う？』


「え？」


『でもね。今止めればパーは心にケジメをつけることが出来なくなる。だから.....パーが諦めない限り、始まってしまった以上私たちにはもう止めれないんだ。』


「ケジメ....」


『ずっとそうしてきた....本当は止めたいけどね。でも、パーは諦めてないから...』


恐らくリツカはこう言った物が嫌いなのだろう。
そう語った手は微かに震えていた。


ゴッ！！


長内の裏拳がパーちんの顔面に直撃する。


ビチャッ！！


パーちんの鼻血が飛び散り、長内の手に付着する。


「チッ！汚ぇなぁ。」


『....汚ぇのはテメェの根性だよ((ﾎﾞｿｯ…』


「リッカ〜口に出てんぞ。」


『あ.....』


しまったと言わんばかりにリツカは口元を抑える。