第6章 集会と謎
『......はぁ。』
うーんうーんと悩んだ末、リツカは大きくため息を着くと立ち上がり、ベランダへと向かった。
ベランダに着くなり、リツカはポケットからタバコとライターを取り出すと、タバコに火をつける。
しかし、リツカはそれ吸うことなくただ、風になびく煙を眺めた。
これは佐野真一郎が好んで吸っていたタバコで、リツカにとっては少し思い出深いものだった。
リツカはこの匂いが好きだった。
少し大人びていて、憧れていたあの人を連想させる匂い....
いつも何考えてるのかわからなくて、でも見透かしたようにいつも察してくれて。
ずっとずっと憧れていた。
あの人のように成りたくて、お香のように焚き始めたのが14年ぐらい前
今で言えば1年ぐらい前のこと.....
私は今でもこの煙草を手放せないでいる。
『(.....シン兄ならどう考えるかな....)』
ゆらりと踊る煙を前にリツカはゆっくりと目を閉じた。
【お前の好きにやったらいいんじゃねーの?】
いつかの日に言われた声が頭の中で木霊する。
『好きに.....か。』
リツカはそう呟くとゆっくりと瞳を開け、悲しいぐらい美しい星空を見上げるのだった。