夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第1章 恋人同士とは(i7)完
「お願いだ。顔を見て話してくれないか? 僕は君の事、心配してるんだ。嫌いになった訳じゃない。あんな別れ方をしてしまったけれど、僕は君の事、いい友達だって今でも思ってるよ」
「・・・・・・え?」
友達。
そう言ってもらえたのが、驚きだった。
そんなはずは無い。
あんな噂を流されて、いい気はしなかったはずだ。
どう考えたって、悪いのは私。
噂を流されるくらい軽く見られていて、噂で流されているような事を軽々しくしている、私が全部悪い。
分かってた、自分に友達ができないのは、どうしてなのか。
それは私が、噂話を否定できないような、弱い人間だからだ。
つまらない人間だからだ。
価値の低い人間だからだ。
神様から愛されないような、罪を犯してしまったような、悪い人間だからだ。
そんな自分を、友達だと言ってくれる人なんて、いるはずが無い。
そう、だから、これはきっと。
「なんだ、夢か」
壮五の顔を見る。
壮五は、今にも泣き出してしまいそうな、悲痛な表情をしていた。
とっても、痛ましい。
「大丈夫?」
思わず、そう声をかける。
壮五は泣きそうな顔のまま。
笑った。
「やっぱり、香住さんは素敵な人だね」
私は、嬉しいと思っていいのかが分からなくなった。
これは夢じゃない。
壮五は本当に、きっと泣いている。
何か言わなければ。
何か、安心させてあげなければ。
もし、もし本当に、まだ友達だと思ってくれているのなら。
私は、きっと壮五に何かしてあげられるはず。
自分の気持ちなんてどうでも良い。
私は、壮五の隣に席を移して、背中をさすった。
「ごめん。ごめんなさい」
何故か、私も涙がぽろぽろとこぼれた。
もらい泣きというやつかもしれない。
料理はすっかり冷めてしまった。
でも、私はお腹いっぱいになった。