夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第1章 恋人同士とは(i7)完
それは思いがけない再会だった。
おじさんと別れて、だけど自分が少し空腹になっていたのに気づき、そのままファミレスで少しの注文をしていた時に、彼が店の中に入ってきた。
FSCという大きな会社の息子、逢坂壮五。
突然大学を辞め、どこへ行ったのかも分からなかった友人の事を、考えない日は無かった。
そこに、なぜ、をつける気はないけれど、いつも頭から離れなかった。
壮五はいつも優しく、穏やかで、一緒に居てとても居心地が良かった。
彼を広い大学の中で見つけた時は、いつだってこの上なく嬉しかった。
でも、今はそんな気分にはなれない。
きっと壮五は、自分を嫌いになっているだろうから。
どうか、私に気づかないで欲しいと願い、俯いた。
そこへタイミング悪く、頼んでいた料理が運ばれてくる。
それで、壮五がこちらに気づいて近づいてきた。
店員さんが、お連れ様ですかと声をかける。
「はい。よく知っている仲なんです」
壮五はそう言って、私と同じテーブルに着き、コーヒーを頼んだ。
「久しぶりだね」
かけられた言葉には、少し棘が混ざっている。
顔は見れない。
どんな顔をすれば良いのか分からない。
「社長が、教えてくれたんだ。君がここに居るって」
さっきもらった名刺を思い出す。
私は、壮五の顔を見ないまま、率直に聞いた。
「知り合いなの?」
「今お世話になってる人なんだ。僕は音楽の仕事をしたくて、デビューを目指して頑張ってるよ」
「そう。知らなかった」
私は、学びたい事があって大学に通っている。
壮五は、学びたい事が変わってしまったのだろうか。
私の答えは、自分でもうんざりするくらい、素っ気なかった。
人は一度嫌いになったものを、もう一度好きになるのは難しい。
仲直りするのは、嫌いになったつもり、というだけの話だ。
本当に嫌いになってしまえば、関係の修復なんて無理。
それが分かっているから、私も親しげにはできない。
「壮五は優しいから、気を遣って私に会いに来てくれたのかもしれないけど。私の事はどう思ってくれても良いから。無理に会おうとしてくれなくても・・・」
「違う! そうじゃないよ!」
壮五にしては珍しい大声で、私の言葉が遮られた。
違う?
何が?
私には、壮五の気持ちが分からない。