夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第6章 恋人同士とは番外編3
清らかな瞳が、胸に痛い。
穢らわしい自分が一層嫌になる。
でもそう感じるのは多分全部自分が悪くて、壮五は何も悪くなくて。
何も言えず、その場で固まっていると、壮五が向かいの席を指して言う。
「ここ、良いかな。話があるんだ」
良い、とも悪い、とも答えられない。
本音を言えば、関わらないでほしい。
でも、また冷たく壮五を追い返したくは無かった。
あんな重たい後悔を、二度と繰り返したくなどない。
何も言えず黙っていれば、壮五の方から去ってくれる気がしていた。
でも現実はそうじゃなくて、ただ重い重い沈黙が流れるだけ。
根負けしたのはカエデの方だった。
周囲が、カエデ達の方を見ている。
あまり目立つのも良くないと思った。
壮五の為にも、カエデの為にも。
「良いよ。立ったままだと疲れるでしょ。どうぞ座って」
壮五はほっとしたような顔をして。
「ちょっと待っててね」
少しだけ離れた窓際の別の席から、自分の分のコーヒーを持って来た。
その顔を見て、自分の判断は間違いじゃ無かったんだと確信した。
「話って何?」
甘いコーヒーのおかげか、気分は少し楽だった。
自分から話を切り出す事が出来た。
壮五は、そんな様子のカエデを見て、心から安堵したらしく。
少し冷めたブラックコーヒーを一口飲んで、カエデの目を真っ直ぐに見つめた。
「僕との付き合いを、その、何て言えば良いのかな」
顔を少し赤らめて、言葉をまごつかせる。
いつもの壮五なら、言いたい事がある時は前もって準備してから話を切り出すというのに。
「?」が頭の上に浮かぶカエデ。
「ゆっくりで良いよ、どうしたの?」
優しく声をかけた。
それは、友達だった頃のように、すんなりと口が開いて出来た事。
カエデは、思っていたよりも冷静で居られている自分をほめた。
壮五は深呼吸を何度か繰り返す。
顔の赤みは抜けないが、幾分か落ち着いてきたらしい。
「実は、大和さんに相談に乗ってもらって」
「うん」
「香住さんにしたことを、聞いてもらったんだ」
「うん」
「それで、いっそ友達という枠から外れたら、って、言われて」
「うん」
「・・・・・・それで」
壮五の顔が、かあっと赤くなる。
それ以上の言葉が言えないらしい。