夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第6章 恋人同士とは番外編3
「僕は、香住さんからそう言われて、恥ずかしながら泣いてしまったんです。無力な自分に腹が立ちました。香住さんはとても元気が無くて、なのに僕は何もしてあげられなくて。僕が、あんな事をしなければと思いました。僕が香住さんに失礼な事をしてしまったんです。許されない事です。それを香住さんは責める権利があるのにそうせず、僕に謝ってくれました。謝らなければならないのは僕の方なのに。でも、僕は結果として、彼女を傷つけて友達じゃ無くなってしまいました。・・・自業自得ですよね、僕は、最低な人間です」
そこまで一気に話し終えて、深くため息をつく。
大和は、そうか、とだけ。
壮五は、こらえていた涙が、つ、とあふれ出てきてしまって、慌てて顔を伏せ膝に瞼をつけた。
そのまま両膝を抱きかかえ、静かにすすり泣く。
大和は壮五の背中をそっとさすった。
「何があったのかは、あえて聞かないでおくよ。それで、ソウはどうしたいんだ?」
どうしたいか、なんて分からない。
これからの事を考えるだけで、息が詰まりそうだ。
無言で首を横に三度振り、顔は伏せたまま。
涙はまだ止まらない。
大和は、どうしたものか、と天井を見上げながら考えた。
一方、カエデは激しく後悔していた。
食事も喉を通らない。
「もう友達やめる」とメッセージを送ったのは、そうするしか無いと思ったから。
好きな人、が出来た事が人生で今まで一度も無かった。
自分は一生、誰かに恋をする事なんて無いだろうと、心のどこかでずっと決めつけていたのだ。
男に身体を預けながら、恋人ごっこ、を楽しんだ。
楽しんでいたのだ、自分は。
大人の男達を相手に、自分は手の平の上で男達を転がしている気分だった。
それがとてつもない快楽となっていて、身体の気持ち悪さを誤魔化していた。
数多くの男達に抱かれながら、気持ち悪い感覚を我慢しながら、それでもその快楽に抗えなかった。
そんな軽い女なのだ、自分は。
そんな自分は、壮五のような優しい人間には相応しくない。
だから友達をやめるべきだと思った。
友達で居る資格が無い。
そう、資格が無いのだ。
それでも、壮五とは友達のままで居たかった。
ずっとずっと友達が良かった。
「また、友達居なくなっちゃったな・・・」
ぽつり、呟いた。