夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第4章 恋人同士とは番外編
尚も訊ねる大和と三月に、壮五は眉尻を下げて、困った顔をしながら答えた。
「お二人共、やめてくださいよ。僕達はそんな間柄じゃありません」
「じゃあ、どんな間柄だって言うんだよ」
と大和。
「ただの友達に決まってるじゃないですか」
「壮五、あんな嬉しそうに香住さんの話してんのに、本当にただの友達なのか?」
念を押すようにして聞く三月に、壮五は迷いなく頷いてみせた。
「友達の進歩する姿を知れると、嬉しいじゃないですか」
これでは駄目だと、大和と三月は思った。
二人の目には、壮五はカエデに少なからず心を砕いているように見えていた。
友達と言うには無理があるような、親友と言うには何かが決定的に違うような。
これはもう、白か黒かで言えば黒だと、メンバー六人皆が思うくらいには、仲良しに見えた。
なのに、当の本人にその自覚は無い。
何とかしなければと思った大和と三月は、缶ビールをテーブルに置き、顔を付き合わせて話し合う。
結果的に、壮五の携帯をいじってカエデの携帯に勝手に電話をかけるという荒業になってしまったが。
大和と三月の計画は成功した。
電話をかける事となった壮五は、そのままカエデと待ち合わせをして、一緒に出かける事となる。
酒を少ししか飲めなかった壮五は、酔う前にカエデと合流した。
合流してから、神社で御神酒を頂いたが。
それがいけなかった。
壮五は取り返しのつかない行動をしてしまう。
タチが悪い事に、翌日の一月二日。
壮五は「何も覚えていなかった」。
カエデは、壮五の酔った姿を始めて見て、された事を思い出しては赤面する日々を、しばらく送る事となる。
だがこれは、カエデしか知らない話だ。
この事件をきっかけに、二人の仲は再びギクシャクしてしまうのだが、それはまた別の機会に話そうと思う。
「恋人同士とは」番外編、二千二十二年十二月末執筆。