夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第3章 爪先ほどの想い(i7)未完
お友達になってくれませんか。
その言葉を聞いた途端、私は暗い気持ちになっていってしまうのを感じた。
お友達。
それが、嬉しくないはずも無いのにも関わらす。
なぜか気持ちが沈んでいく。
それが恋心と理解しながら、私は。
その気持ちに蓋をするように、笑顔を作った。
六弥さんから紙をまた受け取り、ぜひ、と書いて渡す。
六弥さんは、すごく嬉しそうに何かを呟いた。
英語っぽく無かったから多分、ノースメイア語だと思う。
母国語が出るほど嬉しかったんだなと思うと。
沈んでいた気持ちが少しは軽くなる。
でも。
友達じゃ嫌だ。
私は。
恋人。
が良い。
そう願っては、そう思っては、ならないのに。
そう思って、願って、しまった。
もう、他人にはなれない。
私は、六弥さんの、友達。
六弥さんとマネージャーさんをお見送りして。
私はテレビ局内に戻った。
そして、涙を静かに流しながら、持ち場へ向かう。
化粧はきっと、落ちてしまっているだろう。
私はそれでも構わず、仕事に戻った。
私を見た仕事仲間の方達は、私を遠目に見ながら、決して話しかけて来ない。
触れてはならない物を見るような目で、私を見ている。
私はそれでも構わず、仕事を続けた。
休憩時間に入る前に、上司の人から呼び出されて。
「今日はもう帰れ。邪魔だ。空気が悪くなる」
と、言われた。
この上司のかたは、いつも言葉がきつい。
私は言われるまま、帰る事にした。
ロッカーの荷物を両手に、ふらふらと歩く。
テレビ局から出ると、風が私に吹き付けてきた。
強い風が、真正面から私にぶつかってくる。
つらい。
辛い。
ツライ。
どうしようもなく。
涙が溢れてくる。
私は、荷物を地面に降ろし、顔を両手で覆った。
帰らなければならない。
家に、帰らなければならない。
だけど足が動かない。
もう、どうしたら良いのか分からない。
私は口を開けて泣いている。
でも声は全く出ない。
それもそのはず。
だって私は障害者なのだから。
泣いて泣いて、泣いて泣きつかれて、もうこのままここで突っ立っていようか、と思っていたら。
前方から車が走ってきて、私の前で横向きに止まった。
運転席の窓が降りて、中から人が私を見上げてきた。
「キミ、どうしたの?」