夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第4章 恋人同士とは番外編
時は三十分ほど遡り、場所はアイドリッシュセブンの寮の中。
年末年始に彼らに課される仕事の量は、意外にも特番やら何やらの収録があっていつも通りの忙しさで。
しかし新年を迎えるこのタイミングは、マネージャーが頑張ってくれたおかげで、メンバー揃ってくつろぎながら、ゆったりと迎えられている。
明日も仕事がある中だが、成人済みの大和と三月、そして壮五は一緒に酒を飲む事になっていた。
なっていた、のだが。
酒盛りを始めようという時になって、大和が壮五に、こんな質問をした。
「ソウは、てっきりあの子と一緒に新年迎えると思ってた。最近はどうよ? ちょっとは進展したか?」
「あの子って・・・香住さんの事ですか?」
「そうそう、香住カエデちゃん。大学が一緒だった、今も仲いいっていう。どこまでいったんだ?」
質問しながら、片手に持った缶ビールに口をつけ、うまいうまいと喉を鳴らす大和。
普段の大和ならば、こんなプライベートな事は聞いたりしないのだが。
今日は十二月三十一日。
クリスマスも終わり、いよいよ恋人達の季節真っ只中である。
寮の中で壮五がカエデの話をする時は、いつもどこか嬉しそうだった。
だから、二人は付き合っているか、もうそこまで間近か、だろう。
とメンバー達は勝手に予想していた。
だが実際の壮五とカエデの関係は、友達であり、それ以上の関係にはなっていない。
このままでは、おそらく進展などしない間柄なのだ。
お互い、相手に深入りするタイプでもなく。
恋愛感情とは呼べない感情しか、持ち合わせていない。
それが壮五とカエデなのだ。
だから壮五は、そんな質問をされると思わず、進展の意味を深く考える。
「そういえば、最近は大学がとても楽しいって言ってました。香住さん、以前講義に遅刻してきた事があったんですけど、今は絶対に遅刻しないって決めてるそうです。進展と言えば、そうなのかもしれません」
と、真面目に答えた。
そんな壮五に、大和も三月も飲んでいた酒を吹き出しそうになる。
「バカ! ちげーよ、恋愛の意味で聞いたんだろ。お兄さんは、付き合ったとか、手をつないだとか、そういう話を聞いてるの」
「で、実際どうなんだ? 香住さんとは上手くいってんのか?」