夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第2章 観察日記「KYを見て」(DG)未完
「俺に関わるな。これは警告だ。これ以上俺に近づいたら、てめぇには良くない噂が立つだろうが」
神田ユウは、そんな素振りをおくびにも出さなかったが。
実は香住カエデを心配していた。
彼女の顔立ち、髪や瞳の色は、神田と同じ日本人のものにとても近かった。
だが、混血らしい彼女の容姿とその生い立ちから、何か理由があって棄てられた子供だったのだろう事くらいは、容易に予想できた。
だから詮索するつもりは無いが、神田にとって彼女は、どうしてか気になってしまう存在だった。
神田は日本人だが、日本で暮らした事は無い。
生まれたときから教団の中に居て、様々な事がありながらも、今も教団に所属している。
エクソシストである神田が、自由の身になる事は無い。
それでも、香住は違う。
彼女は通信班の人間で、適合者でも何でも無い。
彼女がエクソシストに憧れている事は、以前知った。
その憧れが、叶わない事を神田は望んでいる。
エクソシストなど、なったところで得になる事よりも損害になる事の方が多い。
多くの人間は、適合者になる事なく一生を終えるのだろう。
彼女も、その多数派であってほしいと思うのだ。
――これは、仲間意識のような物なのだろうか。
神田には、自分がどうしたいのかは分からない。
だが、彼女をこの戦争に、できるだけ巻き込みたくは無いのだ。
それだけは、はっきりとしている。
だから日記をやめろと言った。
香住カエデは、さっきからずっと震えている。
そうさせているのは自分だというのに、なぜかその姿にまた苛立った。
「びくびくすんじゃねぇよ。弱い奴は嫌いだ」
――そう、嫌いだ。
弱い人間は、いつも勝手に居なくなる。
強い人間だけが、生き残る。
ここはそういう場所だ。
「わ、私は、確かに弱い人間かもしれません」
震えながら、香住カエデが抗議してくる。
「でも、日記だけは、絶対にやめません。私は、エクソシスト様のようになりたいんです!」
肩も、声も、指先も、全て恐怖に震えている。
震えているのに、宣言した瞳だけは、真っ直ぐに神田ユウを見ていた。
神田は舌打ちして、彼女に背を向ける。
任務の時間だ。
もう、行かなくてはならない。
話はまだ、終わっていないのに。