夢に見た世界【アイドリッシュセブン】【D.Gray-man】
第2章 観察日記「KYを見て」(DG)未完
質問に"応えて"くれたら、という言い回しが引っかかった。
だがそんな些細な事に長く気を回せるような時間的余裕はない。
私にだって、与えられた仕事くらいはある。
日記をつけられるのは忙しい仕事の合間のちょっとした休憩時間だけ。
当然、タイムリミットが来るのは早い。
「すみません、エクソシスト様方。私は電話をかけなければいけない時間なので、これで失礼致します」
深々と頭を下げてその場から立ち去る。
電話は大事だ。
どういう仕組みで顔の見えない相手と話ができるのかは、私は科学班ではないから理解できないけれど。
その電話――通信機を使って探索班や指令室やサポーターの方々と円滑な情報交換や伝達をするのが私達通信班の仕事。
いつも通信機で沢山話したり、纏められた資料内容を頭に入れたり、地図を覚えたり、重い通信機を持ち運んだり、仕事内容はバラバラ。
喉を枯らし、知恵熱を出し、筋肉痛になり、目が回りそうなほど毎日働いている。
なのに私達の仕事が評価される事は無い。
それでも、他の班に比べて危険は少ないし、特殊なスキルも必要ない上に、お給金はそこそこ貰える。
だから続けられている。
(それに、世界を救うエクソシスト様を見られる!)
私は名もない孤児だった。
産まれた土地は貧しくて、親の顔は知らなくて、でも私はその土地の子じゃないのは明らかな、変わった髪と目の色を持っていた。
女が生きていくには、春を売るしか無いから、そういうお店を探し始めていた七歳くらいの頃。
通りがかったエクソシスト様が、私の顔が珍しいと言って。
拾って私の体を洗い、髪を切り揃え、綺麗な服を着せてくれて、お腹いっぱいのご飯を食べさせてくれた。
そして、良い仕事がある、と言って連れてきてくれたのがここ、黒の教団。
そのエクソシスト様は、私を黒の教団に置いて、すぐに死んでしまった。
私は、あんな風に誰かを颯爽と救う人になりたい。
だからエクソシスト様の観察日記は、どんなに忙しくても絶対にやめない。
今日は神田ユウの事だけじゃなく、リナリー・リーやラビの事も日記に書ける。
それが嬉しくて、私は下手な鼻唄を歌いながら、仕事に戻った。